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Q奈良墨とは?
A国内シェア95%を誇る、約600年続く奈良の伝統工芸です。
墨は約2000年前の中国 漢時代に中国でつくり出され、今から約1400年前の飛鳥時代に朝鮮半島の高麗を経て日本に伝えられました。現代の”奈良墨”は室町時代初期に興福寺の二諦坊(にたいぼう)の燈明の煤を膠と混錬してつくられた油煙墨が起源です。奈良には社寺が数多くあり、学問の中心として栄えました。写経などの学問や歴史の記録に欠かせない墨をつくる工房は奈良に多く生まれました。以後、奈良を中心に各地で墨がつくられましたが、早くにこれも途絶え、全国シェア95%を誇る”奈良墨”が日本の伝統と文化を守り伝えております。
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Q墨は何からできている?
A墨は煤(すす)・膠(にかわ)・香料を混錬することにより製造されます。
- 煤 …
- 煤には大別して、”油煙”と”松煙”があります。
油煙は菜種油や胡麻油などの植物性の油を燃やし、松煙は松脂を多く含んだ小割の薪を燃やし採取されます。「墨に七色あり」と言われ、煤の違いは、色味の違に繋がります。
- 膠 …
- 煤を水に分散させるとともに、紙へ定着させます。和墨には牛膠が用いられます。
- 香料 …
- 主に”龍脳(りゅうのう)”が用いられます。芳香を放ち、心を落ち着かせる効果があります。
平城宮跡から発掘された多くの木簡や墨書土器から、当時の政治・経済・宗教・生活などが解明されました。その後、紙が普及するにつれ、古文書によりさらに多くの歴史・文化が現在に伝えられています。1000年以上前に書かれた墨跡が消失せずに現存しているのは”膠”の最大の特長であり、墨で書かれたものの耐久性・耐光性を十分に証明しています。また、墨自体も保存環境さえ良ければ100年を越える寿命を持つ、世界でも稀有な筆記具なのです。
製造工程の説明はこちらをご覧ください。
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Q墨にはどんな種類がある?
A煤の種類は、油煙墨・松煙墨・青墨があります。
- 油煙墨 …
- 主に菜種油や胡麻油などの植物性油を燃やして採取された煤を用いてつくられる墨。
- 松煙墨 …
- 松脂を多く含んだ小割の薪を燃やして採取した煤を用いてつくられる墨。
- 青 墨 …
- 灰色に採取した油煙に藍を加えて青味を出した墨を指します。
用途は、主に漢字用墨・かな用墨・水墨画用墨があります。
- 漢字用墨 …
- ノビのある書き心地と強い黒味、底光りのする光沢が特徴の墨です。
特別に表記のないものは漢字用とお考えください。
- かな用墨 …
- かなを書かれる際に大切な、料紙への墨の乗り、運筆の軽さ、墨のノビ、光沢のある墨色を表現するべく、煤・膠を吟味し、漢字用墨よりも細かな煤を、より質の良い膠で混錬した墨です。
- 水墨画用墨 …
- 淡墨での使用時の滲みの色彩・広がりの美しさが特徴の墨です。
弊園の製品についてはこちらをご覧ください。
御墨司『喜壽園』
〒630-8248
奈良県奈良市西新在家町12
奈良県奈良市西新在家町12
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